不当要求は「現場」で起きている
ある人物または団体から不当な要求を受けて困っている人に対して、「それは不当な要求だから応ずる必要はありません。毅然とした態度で断ることが大事です。」とアドバイスをすることは、理屈の上では正しいけれども、多くの場合何ら問題の解決にはつながりません。多くの場合その要求が不当な要求であることくらい相談者も分かっているのであって、何らかの脅威を与えるような手段、弱みにつけこむような手段で要求されているから困り果てて相談に来ているのですから。不当要求は現場で起きているのであり、求められているのは現場対応です。
私たち弁護士は、ついついそういう現場対応に対して消極的になりがちです。「不当な要求だから応ずる必要はありません」とアドバイスだけして、後は「裁判になったらまた来てください」とついつい言いたくなります。
しかし、それでは例えば暴力金融事案や、暴力団その他の反社会的勢力からのトラブル・スキャンダルにかこつけた不当要求事案は何ら解決しません。要求してくる相手方自身、その要求が裁判所では認められないものであることくらい百も承知なのですから。
とはいえ弁護士は所詮弁護士でしかなくガードマンではありません。依頼者の生活の平穏や安全は警察に守ってもらうしかありません。そういう警察による現場対応も含めて、私たち弁護士は、不当要求事案に対して、必要に応じて警察とも連携しながら、依頼者と十分に打ち合わせを行い、現場において依頼者に向けられる不当要求のボールを自分で受け取らないで代理人弁護士に渡してもらう体制を構築していきます。依頼者と二人三脚の作業です。これが不当要求事案に対する弁護士による現場対応です。
青島刑事ではないけれど「不当要求は現場で起きている。裁判所で起きているんじゃない。」ということを、私たち弁護士は忘れてはならない。自戒を込めてそう思います。