良い法律家を育てる秘訣は,弟子入り制度にあり
1. なぜ,良い法律家が社会に必要なのか?
社会には,強盗などの刑事事件や,借金,相続,離婚などの民事事件のように,様々なトラブルがあります。
このような,様々なトラブルを法律に従って解決するのが,裁判官,検察官,弁護士を始めとする法律家たちです。
そして,法律に精通した良い法律家は,トラブルの敵味方を問わず,法律に基づいた公平で妥当な解決を目指します。
すなわち,法律家は,社会において,トラブルを解決するための潤滑油のような役割を果たしており,良い法律家は社会共通の財産であるはずです。
2. なぜ,良い法律家を育てるのが難しいのか?
それでは,良い法律家を育てるには,どうしたらよいのでしょうか。
良い法律家を育てることは,良い技術者を育てるのと同様に,大変,時間と手間とお金がかかります。
これまで,裁判官,検察官及び弁護士は,先輩の法律家に弟子入りし(これを「司法修習」と言います。),その先輩からマン・ツー・マンで法律家としての技術や素養を教わり,また,実務経験を積むことにより,徐々に実力を付け,育てられてきました。
まるで,伝統工芸の職人や演歌歌手のようです。
そのため,人間のように,一人で数名しか子孫を増やすことができず,魚や昆虫のように何千匹も子孫を増やせませんでした。
したがって,良い法律家を育てることは大変難しく,なかなか法律家は増えませんでした。
3. なぜ,法律家の育て方が変わったのか?
ところが,近年,裁判官,検察官及び弁護士の育て方が,大きく変わろうとしています。
法律家は,社会の潤滑油のような存在であったのですが,社会がより複雑になるに従って,潤滑油が足りなくなりました。
そこで,裁判官,検察官及び弁護士を,それぞれ大幅に増やそうという機運が出てきたのです。
そのため,法律家を増やす上での障害となっていた弟子入り制度(司法修習制度)も,大きく見直されることになったのです。
具体的には,元々2年間であった弟子入り期間(司法修習期間)が,1年半に短縮され,さらに,今年から1年に短縮されました。
その代わり,弟子入りする前の「学生」の期間が2~3年延長されて勉強する時間が長くなり(これを「法科大学院」と言います。),また,法律家になってからも,研修などをこれまで以上に受けなければならなくなりました。
4. なぜ,私たちは,良い法律家を育てるのか?
福井弁護士会においても,これまでは,毎年4名程度の弟子(司法修習生)を育ててきましたが,近年は8名となり,今年は13名にまで増えました。
私たちは,ある意味,将来の自分たちの商売がたきを育てていることになりますが,良い法律家を育てるために,手間を惜しみません。
なぜなら,悪い法律家が増えると,誰も法律家の言うことを信じなくなり,結果として,私たち法律家が,社会の潤滑油として働く基盤が失われてしまうからです。
弟子入り(司法修習)の期間は短くなったものの,私たちは,その伝統を守り,一人一人手間をかけて良い法律家を育てていきたいと考えています。